禁煙に成功した女性の写真私はヘビースモーカーではありませんでしたが、最低でも一日に二本くらいは吸っていましたね。

きっかけは仕事のストレス発散でした。

私の家庭は父親が非喫煙者であり、母が喫煙者でした。

その母にしても私以外の家族の前では決してタバコを口にすることはありませんでしたし、毎日というわけでもありませんでしたから、私は特に喫煙に興味を持っていたわけではありませんでした。

そういう点では私は父譲りだったと思います。

逆に私の兄は高校生の頃から喫煙していましたね。

両親も私もいくら注意しても懇願しても一向に聞き入れようとはしませんでした。

部屋が一緒なのでタバコのヤニによる汚れと副流煙に悩まされる日々が続いたのです。

ですので私はタバコを自らの意志で口にすることは無いのだと思っていました。

しかし。高校を卒業して大学へと無事に進学はできたものの、学費稼ぎのアルバイトと学業の両立は思った以上に大変だったのです。

おまけに家庭の事情と私自身の健康問題も重なり、それまでの割合に穏やかな日々が遠ざかり、生活環境が激変しました。

私は精神的に不安定になり、まずは飲酒で心を落ち着かせることを試してみました。

酒は一時的には確かに心の安らぎを与えてくれました。

でも徐々に酔いが時間の経過と共に薄れて行くとそれまでの幸福感がどこへやら消えて行くことが怖くなり、ついつい盃を重ねることに。

私がアルコールの依存症にならなかったかのはよほどアルコールに強い体質に恵まれたことと、精神のどこかにやはりこのままではいけない、という作用が働いてくれたのだと思います。

ともかくアルコールによる身体的な障害が発生する前に常用的な飲酒を遠ざけることができたのはとても幸運なことでしたが。

そういはいっても日常生活が安定しなければ問題の解決はなかなか進展してはくれないもの。

私は半ば嫌悪していたタバコにも手を出しました。

最初は母の物を味見のつもりで一本拝借。感想は「不味い」の一言でしたね。

私も喫煙が最初というわけではありませんでした。

悪友にそそのかされて、兄に勧められてということでしたが、軽めの母の愛用品でも生理的に受け付けませんでした。

その一本だけならその後相当長く続いた喫煙の習慣につながることはなかったでしょう。

しばらく日が経ち、手持ち無沙汰だった私はなんとなく口寂しくなり、同じようについつい手を出してしまいました。

習慣とは恐ろしい一面を持っています。

もうこの頃は学業そっちのけでアルバイト専業のようになっていましたから、仕事の前に一本、寝る前にもう一本、という具合になっていましたよ。

新製品のタバコのデザインがとても斬新でしばらくはそれだけを吸っていました。

せめてもの救いはヘビースモーカーに陥らなかったということ。

これには経済的な理由もありましたが。私の喫煙歴はかれこれ二十年ということになるでしょうか。

その間が常に煙で充たされていたわけではなく、節煙に近い形でその間隔が相当隔たっていた期間も結構長かったのですから。

その私がきっぱりとタバコを断ったのは母が禁煙を決意したからでした。

母の姉である私の伯母は相当な喫煙者であり、それが原因と思われる大病を患ったことが直接の原因でしたが。身内の不幸は本当に身に沁みました。

私の母は意志の女性(ひと)です。

禁煙外来に一度だけ相談へ行き、それからは弱音を吐かず、特別な努力も器具等の世話にもならず禁煙に成功しましたからね。

結果から言えば、付き合うことにした私の方が先にタバコに対する雑念を一切振り払えたのですから、父譲りのタバコを受け付けない体質が本質だったということになるでしょうね。

時折母は紫煙が恋しくなると口にすることがありますが、私はそういうことが一切ありません。

止めたからには未練を持たない。

こうすることで深酒ともタバコとも縁が切れたのだと自分で自分を褒めているのですよ。むしろ今では口臭対策が楽しいです。

他人様の禁煙体験に触れる度に、世の中一般と自分との差異を認識するのですが、精神の根本に「本当はいけないことなのだ」という一本の筋があったからこその成功だったのだなと自負しているのです。

とにかく私は幸運でした。大した苦労もなく悪癖と縁が切れたのですから。最後に個人的に嬉しい出来事を。私の兄もついに禁煙に踏み切ることに。

どれだけ本気かはわかりませんが、兄も健康の大切さにやっと気づいてくれたのだと思い、励ましの言葉を母と共に送ることにしました。私達を見習ってぜひ成功して貰いたいものです。